
1973年に40人の無給介護者で活動を開始して、年間の実働介護時間が750時間であったものが、1976年で1万2000時間、1978年に2万5000時間となり、1987年には、14人の専従介護者と延べ276人の協力者により、年間実働介護2万7000時間に及んでいる。この救急介護の実際において見逃す事が出来ない制度が、徴兵忌避による代役業務である。ドイツでは、20歳の男性は、12か月の徴兵義務を有するが、これを忌避して15か月の代役業務に替える事ができ、例えば救急介護はその代役業務となりうる45)。ボン市部でも、この制度を活用し、現在12人の代役業務者が活動している。また、ボン市部では、上記の州労働省による救急介護施設補助金に応募している。 (2) ドイツ赤十字社 (a) 組織 世界的組織である赤十字杜は、ドイツでは1863年にシュトゥットガルトに最初の組織が設立され、1921年には全国的展開を始めた。第二次大戦後1950年に現在の組織形態が採用されはじめ、ボンに全国本部を置き、19の州レヴェル組織がある。1994年時点で、551の支部組織を擁し、5358の地区組織が存在する。1992年及び1993年と比較して、支部組織が601,583、地区組織が5702.5582と減少傾向にある、ドイツ同権奉仕会と組織形成上異なっているのは、ドイツ赤十字社の場合、原則として赤十字社が各地区組織を自ら形成し、会員を増強する形を採る点である。従って、統計上1994年で、正会員が29万人弱、助成会員が433万人強、青年団が8万人強で、会員総計が470万人で、全人口の5.79%となっている。この割合は、1992年が5.72%、1993年が5.82%で、横ばい状況と考えられよう46)。 (b) 財政 ボン本部の過去4年間の財政規模は、減少傾向にある。各年の概数予算規模は、1991年が5億5300万マルク、1992年が5億8100万マルク、1993年が4億9400万マルク、そして1994年が4億7300万マルクである47)。全般的推移は、次の表1が示す通りである。この減少傾向には、常に歳入の5・6割を占めてきた連邦・EU補助金の減少が大きく影響していると思われる。この連邦・EU補助金のうち、6割程度は、外務省や連邦経済開発省から受けた開発援助等の国際任務特定の補助金である48)。世界的組織である赤十字社とはいえ、社会福祉以外の所轄からも補助金を得ている点が、興味深い。また、本部収入とは、下部機構からの収益金が大部分であり、特定寄付金等とは、使途を特定した寄付金や事業収入である。従って、赤十字社の国内活動に当てられ得るのは、大体毎年予算の半分程度と推定
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